来年10月から始まるインボイス制度(消費税の適格請求書等保存方式)ですが、まだまだ、未知数のわからないことも多いですが、下請けや免税事業者が不利になるのではないかと前回、想定できる問題点を上げさせていただきましたが、今回は行政のQ&Aから抜粋し、簡単ですが紹介させていただきます。
1.独占禁止法
取引上優越した地位にある事業者(買手)が、インボイス制度の実施後の免税事業者との取引において、仕入税額控除ができないことを理由に、免税事業者に対して取引価格の引下げを要請し、取引価格の再交渉において、仕入税額控除が制限される分(注3)について、免税事業者の仕入れや諸経費の支払いに係る消費税の負担をも考慮した上で、双方納得の上で取引価格を設定すれば、結果的に取引価格が引き下げられたとしても、独占禁止法上問題となるものではありません。
しかし、再交渉が形式的なものにすぎず、仕入側の事業者(買手)の都合のみで著しく低い価格を設定し、免税事業者が負担していた消費税額も払えないような価格を設定した場合には、優越的地位の濫用として、独占禁止法上問題となります。
また、取引上優越した地位にある事業者(買手)からの要請に応じて仕入先が免税事業者から課税事業者となった場合であって、その際、仕入先が納税義務を負うこととなる消費税分を勘案した取引価格の交渉が形式的なものにすぎず、著しく低い取引価格を設定した場合についても同様です。
(注3)免税事業者からの課税仕入れについては、インボイス制度の実施後3年間は、仕入税額相当額の8割、その後の3年間は同5割の控除ができることとされています。
2.下請法
下請法の規制の対象となる場合で、事業者(買手)が免税事業者である仕入先に対して、給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対して通常支払われる対価に比べて、免税事業者が負担していた消費税額も払えないような下請代金など、著しく低い下請代金の額を不当に定めた場合には、下請法第4条第1項第5号で禁止されている買いたたきとして問題となります。
下請法の規制の対象となる場合で、事業者(買手)からの要請に応じて仕入先が免税事業者から課税事業者となった場合であって、給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対して通常支払われる対価に比べて著しく低い下請代金の額を不当に定めた場合についても、同様です。
3.建設業法
建設業法の規制の対象となる場合で、元請負人(建設工事の下請契約における注文者で建設業者であるもの。以下同じ。)が、自己の取引上の地位を不当に利用して免税事業者である下請負人(建設工事の下請契約における請負人。以下同じ。)と合意することなく、下請代金の額を一方的に減額して、免税事業者が負担していた消費税額も払えないような代金による下請契約を締結した場合や、免税事業者である下請負人に対して、契約後に、取り決めた下請代金の額を一方的に減額した場合等により、下請代金の額がその工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額となる場合には、建設業法第19条の3の「不当に低い請負代金の禁止」の規定に違反する行為として問題となります。
いづれにしても、インボイス制度が実施されれば、いろいろな問題は起こってくるかと思いますが、事前に対応策を練られて、免税事業者でいくのか?課税事業者でいくのか? 年末までには決めて動かれるのか一番かと思われます。
2023年3月まであと5ヶ月、時間はあっという間です。
時間を大切にし、次の手立てを取られてみてください。